1年程前にいただいたのだが、やっと時間を作って読んだのでレビュー。辞書的な本なので、自分が知らなさそうなテーマだけつまみ食い。

Kubernetesについては体系的に学んだことがなく、断片的な知識だけで生きてきたので、この本を読んでその間をしっかり埋められた。 特に自分があまり知らなかった(Cron)Job, Service APIs周り, PVC, セキュリティ関連、ロギングについてはとても勉強になった。

Kubernetesについてある程度知っている人が知識を埋めたり、辞書として活用するのに適した本だと思う。 必要な情報を体系的に説明してくれる。 またそれぞれの情報について解説→例を出して実際に動作といった感じで進んでいき、単なる羅列ではないので頭に入ってきやすい。 対象のバージョンが1.18と若干古いが、Kubernetesのコアとなる大半の概念については変わらないので十分学べる。

一方でKubernetesについて全く知らない人が最初に読む本ではなさそう。少し詳しすぎるので挫折するような気がする。自分は最初に『しくみがわかるKubernetes』を読んだが1、こんな感じで順に動かしながら学んでいく本の方が最初に読むのに良さそう。

また「はじめに」にも書いてあるとおり、この本はアプリケーション開発者が利用する可能性のある要素、言い換えるとCKADに必要な要素を中心に解説している。なのでKubernetesのアーキテクチャについては、個々のコンポーネントの概要について解説するにとどまっている。例えばカスタムオペレータを実装したいとか、Kubernetes本体にコントリビュートしたいとかの場合は追加の情報が必要になる。

どんな立場であれKubernetesに関わる人が必ず知っておくべき内容が体系的に纏まっており、評判通り良本である。


  1. 選んだ理由は大学の図書館にこれしかなかったからだがこれも良い本。AWSやGCPではなくAzureを使うのが若干微妙だが。 ↩︎